佐藤タダシ(ディレクター/モノ好き)
今週の STYLEBOOK はドイツ・フライブルクに住む夫婦の特集。
率先的にエコライフを送るロイポルツさん夫妻を3日間にわたって取材。その間、自宅、菜園、買い物など様々なシーンに密着させていただいた。
さすがの強行日程にご夫妻も疲れてしまうのではと危惧したが、まるで逆。普段から客を招くことに喜びを感じている二人にとって、我々も客らしい。市場で買ったクルミをしきりにすすめてくる。
自宅での撮影での事。
奥様の調理シーンを収録したのですが、二人暮らしなのにどうも量が多い。人参、玉ねぎは各4個、牛肉は1.3キロ。何日分のおかずなんだ...。
ふと、気付いた。
そうか、彼女は我々にごちそうするために作っていたのだ。
撮影も終了し、みんな揃って食事。グラーシュと呼ばれる欧風煮込み料理やキノコ入りラビオリなどを振る舞っていただいたが、どれも美味しい。そして「美味しい」といえば、当然のように「おかわり」をくれる。
勘弁して下さいという程、料理を堪能した我々であったが、ラストにはデザートが待っていた。砂糖漬けプラムをたっぷり使ったパイのお出ましである。直径30センチはあろうかというキングサイズ。
もう胃袋に隙間はない。しかし、せっかく作っていただいたデザート。食べなければいけない。
テーブル上のプラムパイは全8切れ。撮影スタッフは5人。夫婦はぜひ食べて欲しいらしく、手を付けない。えーい、ままよ。お腹いっぱいだけどワインで押し込めばなんとかなるだろう。
「旨い!」
絶妙な酸味が食欲を刺激する。
どうやら僕の食べっぷりに奥様は嬉しくなったようだ。僕の皿の上には残り3切れが載っていた。もちろん「美味しい!」とすべてを平らげた。
それを見た奥様が一言。
「もう一枚あるわよ」
ロイポルツ夫妻は本当に素敵な夫婦である。
STYLEBOOK ドイツ・フライブルク特集 Part 2
「この街に住むということ」
11月1日(土)夜11時30分放送
写真:佐藤タダシ[STYLEBOOK]