2008年11月7日金曜日

自動車とフライブルク


佐藤タダシ(フライブルク取材ディレクター/車乗り)

果たして車は便利なのか。最近、そんな事を考えている。

荷物を積む事もあるし、何人も乗せることもある。もしかして悪路も通るかもしれない。結果として、ただガソリンを無駄食いする7人乗りの4輪駆動車を1人で使う生活を送る私。そんな環境に優しくない私にとって、一週間取材で滞在したドイツ・フライブルクは強烈な印象の残る街だった。

世界中でモーダルシフト化が進んでいる。自動車を使わず、公共交通手段に移行する事によって環境を保護しようという考え方だ。

もちろん日本でも取り組んでいる。
しかし、あまり普及していない。

理由は単純だ。
不便。
一度でも便利を味わってしまった人間に新しいシステムを実践してほしいならば、今以上の利便性がないと普及しない。

フライブルク市街地の主要交通手段は路面電車。街の中心部に近い駅には無料駐車場が整備されており、郊外から街へ向かう場合、ここで車を降り、路面電車へと乗り換える事が可能だ。

交通手段を電車にかえさせたいならば、それ相応の対策が必要である。肝心なのは街の人々にとって便利かどうか。

たとえば、時々しか車を使わないような人々が利用するカーシェアリング。日本を始め、欧米のレンタカーは丸1日使用するとなると燃料費込み1万円は覚悟しなければならない。これでは、中古車を購入したほうが、結果的に安く済むと思ってしまうだろう。対してフライブルクのカーシェアリングは2~3000円。軽自動車から大型4輪駆動まで車種も豊富だ。こういうシステムがあるなら、車を持たなくても不便ではない。

世界中で環境保護という命題を掲げて、必死に取り組んでいるが、成果はあまり見えていない。
フライブルクは10年以上環境首都と呼ばれている。それは快適なシステムが考えられているからではないか。

こういうシステムのある街だったら、今すぐ車を降りるのになあ。
そうすれば、僕の経済環境もすこぶる良くなる。

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PS. 次廣 靖(プロデューサー)
今回の スタイルブック にも出演いただいた フライブルク在住のジャーナリスト、村上敦さんが「EUの車の燃費規制とドイツの自動車産業」というタイトルでレポートを書かれています。こちらをご覧下さい。
〈村上敦のフライブルク・エコレポート〉

STYLEBOOK ドイツ・フライブルク特集 第三回
「人が主役の街 〜環境首都・フライブルクの街づくり」

11月8日(土)よる11時30分
11月9日(日)よる11時30分

写真:佐藤タダシ[STYLEBOOK]