2009年9月2日水曜日

スズムシのすすめ

佐藤充能(リサーチャー)

スズムシを飼い始めた。きっかけは馴染みの銭湯でのお風呂上り、番台の前の休憩所で一休みをしていたら何処から秋を感じさせるスズムシの風流な音色が・・・。最初はBGMを流しているのかと思ったが、銭湯の人に聞いたら自分が座っている椅子の下に虫篭があって、その中で本物のスズムシが鳴いている音だとのこと。お風呂上りのさっぱりとした気分に妙にマッチするスズムシの音色。しばらくの間、その鳴き声を聞きながらゆっくりとしていたら、銭湯の人が「スズムシ持ってかない?」と僕に一言。小学生の時にカブトムシを飼って以来、虫を飼っていなかったこともあり、飼う自信の無かった僕は一瞬戸惑うも、あまりにもスズムシの音色が良かったので結局スズムシを家に持って帰ることに・・・。

そんな訳で、3週間程前から僕とスズムシの生活が始まったのですが、これがなかなか楽しい! 何が楽しいって、スズムシ達が家で飼ったら全然「風流に」鳴いてくれない! 貰ってくる前は夜になったら良い感じで鳴いてくれると想像していたが、もう昼も夜も関係無く鳴きまくる! しかも音量的に風流なのは一瞬! いったん鳴き出すと、後は直ぐに風流のレベルを超えた大ボリュームで鳴き続ける!

つい最近、番組で音環境を考えてみようという概念「サウンドスケープ」を特集したが、このサウンドスケープの概念を説明する本ではスズムシの音色が「良い音」として度々紹介されている。しかし、我が家のスズムシ達ときたら風流一瞬、直ぐ騒音。だけど、出来の悪い子ほど可愛いと言われる通り、最近はこのスズムシ達の騒音レベルのサウンドスケープがないと、思わず死んじゃったんじゃないかと心配になって、一日に何度も虫篭を覗きこんでしまう自分がいる・・・。

平安時代の貴族や江戸時代の庶民の間で流行したという「スズムシの飼育」。なかなか楽しいし、一週間に一回位エサをあげるだけで手間も掛からないので、興味のある方は是非!