2008年12月23日火曜日

コム・デ・ギャルソンの黒

佐藤充能(リサーチャー)


STYLEBOOK では今、年明け早々の企画として、以前このブログにも書いた「色」に焦点を当てた企画が進行しています。その色で世界に評価される企業やブランド、アーティストを特集していくというものです。そこで、今回はその「色」特集の中で登場する「色」と「モノ」を少しだけ紹介。

この企画のきっかけとなったのは、会議の際に、“コム・デ・ギャルソン”の「黒」のように、色が象徴的なブランドと「色」を特集することが出来ないかというものでした。以来、このギャルソンの黒のように、「色」が象徴的なブランドと、その色を色々と(洒落じゃなく)リサーチしていったのですが、やはりギャルソンの黒は、唯一会議の際の例としても挙ったように、今回の特集の中で登場する、特徴的な色を持つブランドの中でも別格だなという印象があります。

それは誤解を恐れずに言うなら、“コム・デ・ギャルソンが「黒」を作りだした”と考えられるからです。皆さんもご存知のように、ギャルソンは今までの既製服の概念を打ち破り、1981年のパリコレで「黒」を使ったコレクションを発表。後に「黒の衝撃」と呼ばれる程の評価を受けました。そしてこれを境に、ファッションの世界で「黒」という色が定着するようになりました。

そして、色が印象的なブランドを調べていると、ギャルソンの功績は単にファッションの世界に黒を作り出した訳ではないと思うようになったのです。例えば今、デザインとして黒を使った電化製品や工業製品などのプロダクトがたくさんありますが、ギャルソン登場以前のプロダクトはT型フォードのように、デザインというよりも量産効果の観点から黒を使ったものがほとんどです。しかし今、明らかにデザインとして黒が利用されているのは、ギャルソンが黒をデザインとして世界に認識させたこと、そして黒という色の価値観を高めたことがきっかけとなっていると感じたからです。

ちなみにそんなギャルソンの黒、僕も幾つか持っていますが、どれも他のブランドの黒とは一味違うと思います。他のブランドの黒は、どれも一口に黒と言う言葉でまとめられますが、ギャルソンの黒は他の黒とは同じ言葉の範疇に入らない独特のものがあります。またその黒の中でも、ギャルソンは製品によって様々な黒があるのも魅力の一つ。

クリスマスプレゼントとして、久しぶりに自分で買っちゃおうかな~。おしまい。